TOP
ノリ業界の現況TOP
はじめに
I ノリ業界の変遷
II ノリ生産動向
III ノリ消費動向
IV ノリ需給動向
V 漁場環境保全
VI 資   料







 

 秋芽不作、ノリ消費の低迷など平成18年度漁期はさまざまな要因が絡みあい、共販価格への影響も大きく、平均価格では40数年ぶりといわれる8円台という価格低迷を我々ノリ業界関係者は経験した。いっぽう福岡県では地区漁連合併による福岡県有明海共販漁連の創設、それにともなう「福岡のり」ブランドの誕生、また特許庁が進める地域団体商標登録で「佐賀のり」が認定されるなど、本年度もノリ業界では大いに話題提供がされた。
 また18年度には水産庁の補助事業である「ノリ養殖高度化推進事業」のひとつとして、全海苔連が財団法人海苔増殖振興会の協力を得て事業主体となった「優良品種確保促進事業」がスタートした。これは、諸外国に対する我が国のノリ養殖業の品質面、技術面での競争力を確固たるものとするため、その基本となる優良な特性を有するノリ株の選定、利用を促進する必要性を強く認識、実施したもの。日本のノリ養殖の将来を担う事業として、大いに期待が高まっている。
 さて18年度漁期は、共販枚数95億7千枚、金額828億1千万円、平均単価8円65銭という結果となった。採苗期のすみやかなる水温低下で、当初は順調なノリ養殖が期待されていた。しかし育苗期に入り、水温降下が鈍く、生産者には焦りの色が見られ、多くの地区で、種網作りの失敗やスムーズな養生ができず、きびしい秋芽生産の局面と対峙することになった。ただこの状況は九州有明海では若干違いを見せ、不振の地区もあったが、福岡、佐賀はまずまずの状況で推移した。年末から年始にかけて、徐々に全国的に各地区ともノリの生長に勢いが出始め、冷凍網での生産に弾みがついた。しかし種網不足や栄養塩の減少等が発生、最後までしっかりとした生産をさせてもらえなかった地区も少なくなく、最終的には地区による格差が顕著な結果となった。とはいえ瀬戸内地区の主要産地である兵庫や香川の生産に「復活の兆し」が見られるなど、来漁期への期待もふくらむ。
 外国産ノリの輸入について、韓国では不作の影響で、国内での供給不足の懸念もあり、社団法人のり協会が韓国ソウル市で開催した入札会、商談会でも韓国側の消極的な姿勢が見られた。いっぽう中国だが、生産量は約30億枚と近年にないものになったようだ。さらに国内需要の向上、欧米への海外輸出などで需要も拡大中とのこと。しかし日本国内では中国からの輸入食材への不信による、消費離れが顕著であり、中国産ノリもその影響を少なからず受けているようだ。なお、19年5月に中国・江蘇省の南通市で予定されていた、同協会による入札、商談会に関しては、中国側からの申し入れで開催は見送られた。
 この小冊子は本会データベースはもとより、農林水産省、水産庁ならびに全漁連、全国漁連のり事業推進協議会等からの情報、資料提供などの協力を得て「ノリ業界の現況」を、生産、流通、消費に係わるデータ(資料)によってわかりやすく紹介したもの。ノリ業界における「白書」として、ぜひ各位にご活用をたまわれば幸いである。

全国海苔貝類漁業協同組合連合会 漁政総務部







Copyright(C) 全国海苔貝類漁業協同組合連合会・財団法人海苔増殖振興会 All rights reserved.