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ノリ業界の現況TOP
はじめに
I ノリ業界の変遷
II ノリ生産動向
III ノリ消費動向
IV ノリ需給動向
V 資   料






 平成20年度漁期は、一部で低栄養塩や病害による生産阻害もあるなど、決して順調ではなかったものの、漁期前半は養殖スケジュールや環境変化に恵まれたこともあり、幾多の生産阻害要因をクリア、生産量もほぼ平年並みから前年度に比べ上向いた地区も見られた。年が明けても東日本、瀬戸内地区では、栄養塩の減少や病害の発生、拡大も見られたものの、その影響は最小限にとどめられ、まずまず順調に推移した。いっぽう九州有明海は病害発生に悩まされ、生産量は、過去最高となった昨年度に比べ、大幅に減少させることとなった。全国の共販結果だが、枚数で91億枚、金額で800億円、平均単価は8.80円と3年続けての8円台とふるわなかった。贈答品市場の低迷、家庭用消費の減少に加え、秋口からの金融不安が後押しする景気低迷の影響もあって、他の食品同様に販売状況もさらに厳しさが増した感が強くなった。その影響からか上物を中心に札もふるわなかった。とはいえ業務用商品の在庫については、19年度漁期の悪夢であった兵庫・明石海峡沖のタンカー事故による生産量の大幅減の影響で、商品が逼迫したところも多く、その手当に早くから各社がしのぎを削った。
 外国産ノリの輸入動向については、全般的にふるわず、残量も目立つ。なかでも(社)のり協会が主催する需要者割当てにおいては、韓国での入札会は参加した日本企業も消極的な姿勢が目立つなど盛り上がりに欠いた。また中国産ノリについては20年度も出品ならびに入札会の開催には至らなかった。いっぽう同協会による海外での日本産ノリのピーアール活動がフランス・パリ、中国・マカオ、上海などでおこなわれ、海外へのノリ輸出推進が本格化した。
 停滞する業界の起死回生を図るべく全国漁連のり事業推進協議会が20年度漁期を前に始動させたのが「毎月第3土曜日は“手巻き寿司の日"」。東京を中心にイベントが開催されるなど新たなノリ消費拡大に向けての取り組みがスタートした。また前年に誕生したノリのブランド商品「佐賀海苔有明海一番」が贈答商戦に登場、低迷する贈答市場での活躍が期待された。さらにかつてノリの一大生産地であった東京・大森で、その歴史をとどめる「大森海苔のふるさと館」が開館。古きを温め、新しきを知る情報発信の場として、業界関係者から注目されている。
 そしてノリ生産者をはじめ水産業界が一丸となって取り組んだのが史上初となる「一斉休漁」。20年度漁期を前に、燃油高騰による経営悪化を懸念して、漁業者は一斉休漁に踏み切り、東京における漁民大会をはじめ全国各地で声高らかにその苦境を訴え、自らの手で、緊急対策を国から掴みとった。
 この小冊子は本会データベースはもとより、農林水産省、水産庁、ならびに全漁連、全国漁連のり事業推進協議会等からの情報、資料提供などの協力を得て、まさに「ノリ業界の現況」を紹介したもの。業界における白書としてご活用たまわれば幸いである。

全国海苔貝類漁業協同組合連合会 漁政総務部







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